僕らも当然、出るはずだった。けれど、直前になって、僕らは不参加になった。僕らの代表曲、『夢の途中』を、披露宴で歌って欲しいとの店長の要望だった。参加人数の都合上、披露宴まではバンドから僕(しらしら)ひとりが出ることになっている。そこで、コングロマリット、カンバス・オブ・ミュージックのソウヤ氏、PAGODAスタッフ&チェスターズのつばさくん、そして同じくコングロマリット、ベルモンドの小高氏に加わってもらって、いわゆるスーパーバンド(笑)での演奏となり、『夢の途中』とコングロマリットの『花も暮らしも』の2曲を演奏することになった。
いきなりの寄せ集めで、うまくいくか不安だったけれど、結果的にはみな素晴らしいミュージシャンだから、とても良い演奏ができた。直前に集まったリハも、手応えは大きく、今後も時々やりたいという話になった程だった。
その披露宴の演奏は本当に楽しかったので満足だったけれど、2次会パーティーでそれぞれのバンドの盛り上がりを見ていたら、やはりPOP RADIOで出たかったという気持ちが蘇ってきた。新郎である店長の要求通りやってあげようという気持ちと、バンドで出たいという気持ちがあって、僕は当日を迎えるまでかなり複雑な心境だった。特別に組んだバンドが思いの外良かったから、これで良かったのだと思ったけれど、2次会パーティーでメンバーの顔を見たら、また、複雑な気持ちにはなった。
たくさんの仲間と雑談しながら、口々に『POP RADIOは出ないの?』と聞かれたのもまた複雑だった。それだけはちょっと残念だと思いつつ、最後まで本当に楽しんだし、最高の結婚式だったと思う。
POP RADIOが無かったら、こんなにたくさんの仲間と知り合えなかった。また、POP RADIOが僕の存在をみんなに知らせてくれたわけだ。本当に、POP RADIO様々である。POP RADIOが良いバンドだから、みんなが『しらしら!』って認めてくれるわけで、今回の特別バンドもなりたったわけである。そのことは、やはり、メンバーも誇りに思ってほしいと思う。
そんなわけで、PAGODA軍団のひとりとして、最高の気分に浸って1日を終えた。パーティー会場の入り口では新郎新婦が二人でひとりひとりに挨拶をしている。このメタル夫婦に幸あれ、である(笑)。
そういう感じで笑って終わるはずだった。
僕の前の人まで、新郎新婦二人とも笑って話していた。しかし僕の番になって、店長が『しらしら、夢の途中やってくれて…』と言った途端、泣き出してしまったのである。あの怪獣みたいな、ヘビーメタルな店長が、子供のように泣き出して、奥さんももらい泣き。僕はもともと涙腺が緩くて普段でも涙目の人なので、もらい泣き。なんでそこで三人泣いてる?、みたいな状態。端から見たら、なんだこいつら?状態である。でも、その時に全部わかった気がした。店長がどれだけ僕らの曲を愛してくれていたか。POP RADIOを好きでいてくれたか。パーティーじゃなくて、あの式場の場で、僕に歌って欲しかったんだろう。気に入ってくれているのは知っていたけど、正直そこまで思い入れを持ってくれているとは知らなかった。バンドマンとしては、最高に嬉しいことである。
その後からずっと、僕は不思議な気分でいる。あの曲が僕らにもたらしたものの大きさを、急に知らされた感じである。もう10年くらい、ライブのセットリストから一度も外れない曲。そんな曲を持つバンドがどれほどいるだろうか。本当に特別な曲だと思う。
『夢の途中』は、ラブソングを書かない僕が、自分なりのラブソングを書こうと決心して書いた曲である。この曲は結果ではなく、経過である。ずっと終わらないし、これからも続くものである。10年近く前に書いた時の気持ちを今でもはっきりと覚えている。それからずっと、演奏し続け、これからも演奏し続ける曲である。PAGODAのあのステージ、あの照明の中で、ずっと存在し続ける曲である。
あのハコに行って良かったなあと思う。みんなに会えて良かったなあと思う。皆大バカで、素晴らしいミュージシャン達だ。あの集団の中に居る事を、誇りに思う。
まだまだ、これからだ。やることがまだまだある。あのハコで、もっともっと、面白いことがやれるだろう。
POP RADIOを、もっと面白いバンドにしなくちゃね。
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